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弁護士法人 たくみ法律事務所

保険会社が支払いを拒否して自己負担となっていた治療費を含む96万円が補償された事例

被害者 40代男性 / 福岡県在住 / 公務員
傷病名 腰椎捻挫、右下腿打撲傷等
活動のポイント 自賠責保険への請求・保険会社との示談交渉
サポート結果 保険会社との交渉により、慰謝料を裁判基準の約9割まで増額に成功

主な損害項目 金額
慰謝料 92万円
交通費等 3万円
総賠償額 95万円※自賠責保険金含む・支払い済みの治療費除く

相談・依頼のきっかけ

弁護士小林

福岡県在住の方が、バイクに乗って信号待ちをしていたところ、真横に停まったバイクが突然倒れてきて接触する事故に遭い、整形外科にて腰椎捻挫等の診断を受けました。

事故直後から激しい腰の痛みが続き、事故から1か月後に更に悪化し、腰椎椎間板ヘルニアと診断され、総合病院へご入院されることになりました。

その後約20日入院していましたが、保険会社よりヘルニアによる入院等の治療費は対応しないとの連絡があったため、今後の治療や示談交渉についてご相談いただきました。

自己負担となった治療費について、弁護士を通じて自賠責保険へ請求するという方針で、ご依頼いただくことになりました。

当事務所の活動

まずは、任意保険会社に対し治療費の対応を交渉しました。

しかし、任意保険会社の回答は、依頼者の方の椎間板ヘルニアは事故との因果関係が不明であるため、退院後の治療費対応は行わないというもので変わりませんでした

依頼者の方は自費での通院を継続され、退院から半年以上経過しましたが、お怪我の症状がなかなか改善されませんでした。

そのため、自賠責保険会社に対して、自己負担となった治療費の請求だけではなく、依頼者の方に残存している症状が後遺障害に該当しないかについても判断を仰ぐ「後遺障害申請」についても行うこととしました。

当事務所が関与した結果

後遺障害申請の結果は非該当となりました。

依頼者の方と協議の上、今回は異議申し立てはおこなわず、早期解決を目指すとの方針となりました。

その後、自賠責保険から下された認定結果を踏まえ、任意保険会社に対して、自賠責基準で算出した賠償額と裁判基準で算出した賠償額との差額部分を請求する交渉をしました。

保険会社との交渉では自費でご通院されていた治療費について事故との因果関係が認められ、事故日から自費通院終了まで治療費や慰謝料等の賠償が認められました。

そして、自費でご通院されていた期間も賠償の対象とされ、慰謝料については裁判基準額の9割の金額と実際に訴訟を行った場合と変わらない金額での賠償金が補償され示談解決となりました。

弁護士の所感(解決のポイント)

弁護士小林

交通事故の損害賠償には、①.最低限の補償である自賠責保険②.①の上積みとしての任意保険での賠償の二段階構造になっています。

多くの交通事故で、任意保険会社は、被害者に支払った賠償金を最終的に自賠責保険会社から回収するという前提のもと、被害者に対し治療費を支払ったり、慰謝料等の賠償金の請求に応じたりしています。

今回のように、任意保険会社が被害者に対する治療費の支払いを途中でやめてしまった場合、被害者が治療費を継続するためには、被害者の方が一旦治療費を立替え、自分で自賠責保険に対し治療費等の請求をする必要があります

自賠責保険会社の賠償金の支払基準(以下「自賠責基準」といいます。)は、裁判基準の賠償金の支払基準(以下「裁判基準」といいます。)に比べて低額です。

そのため、仮に自賠責保険会社から自費通院分の治療費等の賠償が認められた場合、より高い賠償基準である裁判基準で算定した賠償金との差額部分を任意保険会社に対し請求することができます。

もっとも、自賠責保険会社は、交通事故被害者の救済を目的とする保険であるため、被害者の方に重い過失(7割以上)がある場合除き、被害者の方に過失がある事故であっても過失がないことを前提とした賠償金を支払います。

これに対し、任意保険会社に請求する場合には、過失が考慮されてしまうため、高い賠償基準である裁判基準で賠償額を算定したとしても、過失を考慮すると自賠責基準で算定した賠償額とそこまで変わらない金額となってしまうことがあります。

また、慰謝料の算定方法についても、自賠責基準では通院頻度は基本的に考慮されず、通院期間か通院日数を2倍にした日数のどちらか少ないほうの日数などを算定しますが、裁判実務上、通院期間が長期間にわたり通院頻度が少ない場合は、通院期間ではなく実際の通院日数を3倍にした日数で計算するなどの考え方があります。

そのため、通院期間が長期にわたり、かつ通院頻度が少ない場合にも、裁判基準で算定した慰謝料と自賠責基準で算定した慰謝料がそこまで変わらずない金額となってしまうことがあります。

これらの場合には、自賠責保険会社から自費通院分の賠償が認められたとしても、任意保険会社に対して追加で請求できる差額がほとんどなくなってしまうことがあります。

本件の場合、通院が長期間であるのに対し通院頻度がかなり少ないケースでした。

そのため、任意保険会社に請求したとしても、追加で支払われる賠償金があまりないという結果となる可能性がありました。

しかし、交渉の結果、入院をしている点、自賠責保険がすべての通院を治療に必要な通院であることを認定した点もあり、任意保険会社が上記の裁判実務の考え方を採用せず、通院期間に応じて算定される裁判基準慰謝料の約9割の金額を支払うとの回答を得ることができました

結果として、任意保険会社から自賠責保険の賠償に加えて60万円以上の賠償金を獲得することができました。

治療費対応を強制的に終了すると伝えられた場合でも、自己負担をされている治療費の回収のための様々な手段がございます

また、保険会社が治療額を対応していない期間の慰謝料等の賠償金について、自賠責保険会社だけからでなく任意保険会社からも適切な賠償額を回収することができる場合があります。

お困りの方はぜひご連絡ください。

2022.11.18掲載

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