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仕事を休んだのに休業損害を払ってもらえない?(事業所得者編)
向井です。
前回のコラム『仕事を休んだのに休業損害を払ってもらえない?(給与所得者編)』に引き続き、休業損害についてご説明いたします。
今回は、事業所得者の場合です。
事業所得者(自営業の方など)の場合には、給与所得者の場合のような休業損害証明書というものがありません。
そこで、休業損害算定のための事故前の収入日額と休業日数が争われる場合が多くあります。
事業所得者の休業言外は申告所得額を基本に計算します
まず、事故前の収入日額については、事故前の収入額事故前の確定申告の申告所得額を基本に計算することになります。
ここで、実際の所得額を正直に申告していれば良いのですが、経費分を多く差し引いて実際の所得額より低額の申告をしている場合や、そもそも申告をしていない場合には問題が生じます。
「申告していいなかったけど収入はあった」「実際には申告額より高い所得があった」と訴えて相談に来られる方は非常に多いです。
この場合、実際の所得額に基づき算出したいところですが、それを証明する書類がない限り、ほとんど不可能です。
領収書を合計すれば実際の所得額が申告所得額より高かったことが証明できると考える方も多くいらっしゃることと思いますが、領収書は公的な書類でなく、言ってしまえば事故後に作ろうと思えば作れてしまうものですので、保険会社は信用してません。
家族構成や事業に係る経費などの事情からすれば申告所得額では生活できないだろうとして実際の所得額で主張することもできなくはありませんが、少なくとも訴訟外で相手方が認める可能性はほとんどゼロです(訴訟を提起すればある程度は認められる可能性はありますが、証拠の提出が要求される点で変わりませんのでいずれにしても厳しい主張になります)。
また、休業日数についても争われます。
なぜなら、自営業の方の場合には、仕事を休んだことを証明する資料がないからです。
自分の出勤日や時間を書類として残していない場合も多いですし、出勤簿などは領収書同様、事故後に作ろうと思えば作れてしまう書類なので、保険会社は信用してくれません。
そこで実際には、通院した日数を基本として症状に応じて休業日数が判断されることになります(通院した全日数が休業日数と認められるわけではありません)。
このように、事業所得者の場合には事故前の収入日額や休業日数のいずれもが厳しく争われることが多くあります。
まとめ
休業損害について2回に分けてご説明いたしました。
いかがでしたでしょうか?
お読みいただいてお分かりだとは思いますが、事業所得者の場合には、休業損害は交渉の際の大きな争点となり、被害者の方々が思うとおりの金額が補償されない場合も多くあります。
交通事故に備えて正確な金額で申告する、とそこまで考える方はいらっしゃらないでしょうし、そのような観点からアドバイスするつもりはありませんが、実際に交通事故にあってしまい仕事を休まざるを得なくなった場合には、難しい状況に陥るかもしれないということを知識として知っていただければと思います。
もっとも、上記のような厳しい状況の方でも、何の手立てがないというわけではありません。
弁護士に依頼した場合、可能な限り適正な休業補償が認められるようにする手段はたくさんあります(例えば、平均賃金を元に計算する方法など。今回は詳細は割愛しますが、ぜひご相談ください。)
休業損害について悩まれている方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください!!!
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監修者弁護士 向井智絵
鹿児島県鹿児島市出身。
後遺障害等級認定サポートや示談交渉など、交通事故の被害者に寄り添った対応を心がけています。お気軽にご相談ください。