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頭部外傷による高次脳機能障害等の重い後遺症が残った場合について
はじめに
頭部外傷により脳を損傷してしまった場合、手術や治療によっても、高次脳機能障害や身体性機能障害などの重い後遺症を残してしまうことがあります。
このような場合、適切な賠償金を獲得するためには、
- 自賠責保険による後遺障害等級認定
- 逸失利益や介護費の損害立証
が重要になり、これらの結果次第で、賠償金の額が大きく異なってくることになります。
自賠責保険による後遺障害等級認定
まず、自賠責保険による後遺障害等級認定ですが、現在の賠償実務は、良いか悪いかは別として、自賠責保険により認定された後遺障害等級に大きく依存しているため、後遺障害として何級と認定されるかが、賠償金の額との関係で極めて重要になります。
このため、自賠責保険に対する後遺障害申請の手続は、反対当事者である加害者側の任意保険会社に任せることはせず(事前認定)、弁護士サポートの下、被害者側主導で進めることが賢明といえます(被害者請求)。
弊所でも、事前認定で進めることが被害者に有利となるような例外的な場合を除き(遅延損害金との関係で事前認定の方がよい場合もあります)、被害者請求により後遺障害の認定手続を進めています。
頭部外傷による高次脳機能障害や身体性機能障害が残存する場合、後遺障害申請の際に通常必要とされる後遺障害診断書の他に、いくつか追加で書類の作成が必要となります。
後遺障害診断書の記載内容はもちろんですが、これら追加で必要となる書類についても、その記載内容によって等級の結果が左右されることは稀ではありません。
したがって、各書類を自賠責保険に提出する前に、それらの記載内容について慎重に検討する必要があります。
検討の前提として、どういった記載が被害者に有利に働くのか、逆に、どういった記載が被害者に不利に働いてしまうのかを理解しておく必要がありますが、これらの理解は、弁護士であっても経験がない場合には相当に難しいものであると思われ、高次脳機能障害や身体性機能障害等の重い後遺症事案に精通した経験豊富な弁護士が求められるといえます。
逸失利益や介護費の損害立証
次に、逸失利益や介護費の立証の点についてですが、重い後遺症を残す事案の場合、これらの損害項目の金額が大きくなる傾向にあり、したがって、争点ともなりやすいので、逸失利益の金額や介護費の金額を、被害者側できちんと立証する必要があります。
逸失利益
逸失利益については、基礎収入額(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)で算定されるところ、特に、労働能力喪失率の立証が重要となります。
労働能力喪失率については、自賠責保険による後遺障害等級が一つの目安とされますが(たとえば、7級で56%、5級で79%の労働能力喪失率とされています)、高次脳機能障害などの場合、同じ等級であっても、現実に残存している後遺症の内容・程度は被害者によって様々であるため、後遺障害等級に応じて定められた目安の喪失率を超える喪失率が認められることも少なくありません。
ただ、目安を超えて認定してもらうためには、被害者側において適切に立証しなければなりません。
介護費
介護費については、被害者に介護が必要となる後遺症が残存した場合における付添いに要する費用のことを言いますが、介護費が認められるためには、まず前提として、介護の必要性を立証する必要がありますし、その立証ができたとしても、さらに、では具体的に付添いに要する費用はいくらなのかという金額の立証も被害者側でする必要があります。
一般に、現実の対価の支払を伴う職業付添人による場合と、これを必ずしも伴わない近親者による場合とが区別され、前者の場合、明細書や領収書等により実費を請求すればよさそうですが、後者の場合には、金額をいくらとするかに明確な基準があるわけではありません。
被害者に残存する後遺症の内容・程度、介護の主体、介護の内容、介護のために必要となる時間、介護者の年齢等を考慮して金額が認定されることになりますが、立証の仕方次第で認定される金額が異なり得るので、的確な立証が求められます。
おわりに
たくみ法律事務所では、高次脳機能障害や身体性機能障害等の重い後遺症事案に精通した経験豊富な弁護士が、適切な後遺障害等級認定の獲得及び逸失利益や介護費の損害の的確な立証に最善を尽くす態勢を整えておりますので、安心してお任せいただければと思います。
事例紹介
高次脳機能障害で将来介護費を含む約2億円の補償を示談交渉で勝ち取った事例
傷病名左急性硬膜外血腫、切迫脳ヘルニア、右撓骨遠位端骨折、右尺骨遠位端骨折、左鎖骨遠位端骨折、肋骨骨折等
治療中からご依頼いただき、高次脳機能障害等の後遺障害が認定され5000万円が補償された事例
傷病名脳挫傷、外傷性脳出血、後頭部線状骨折、左大腿部打撲等
高次脳機能障害で5級2号が認定され、示談交渉の結果5799万円の補償を受けた事例
傷病名外傷性脳挫傷、外傷性クモ膜下出血、びまん性軸索損傷、脳室内血種、右肺挫傷、外傷性気胸、外傷性肝損傷、右恥座骨骨折、右下大静脈周囲血種
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監修者弁護士 岩間龍之介
福岡県久留米市出身。
交通事故被害者からの相談に真剣に向き合い、加害者側との間に入ることで精神面でも支えとなれるよう最大限の努力をいたします。