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交通事故を扱う弁護士が教える!ドライブレコーダー基礎知識


はじめに

ドライブレコーダー

以前、「ドライブレコーダー設置のススメ」を書かせていただき、過失割合認定の実情や、弁護士サイドからみたドライブレコーダー(以下「ドラレコ」と略します。)の有用性を解説させていただきました。

もっとも、「ドラレコ」というものは知っていても、具体的にはどういうものなのか分からない、という方向けに、今回のコラムではそもそもドラレコとは何なのかをご説明したいと思います。

録画機能

録画データ

近年のドラレコは、エンジン起動中の映像を常時録画しています。

常時録画されているデータは録画数分ごとに分割され、概ね3、5、10分間ごとに分割するよう設定できる機種が多です。

エンジンがかかっている間は録画され続けるため、記録媒体(SDカードなど)の容量を超えると、古いデータから消去・上書きされます。

上書きを防ぐにはデータの保護が必要となります。

Gセンサー機能

このデータの保護に関しては、常時録画しつつ事故の衝撃を感知し、衝撃前後のデータ(多くは事故前3分間、事故時含む3分間、事故後3分間の3データ)を自動で保護するという「常時録画+Gセンサー録画機能」を有する機種がほとんどを占めています。

ただ、軽微事故ではGセンサーが反応しないこともあるので注意が必要です。

念のため事故現場から移動する前に手動で保護もかけたほうがいいでしょう。

私の担当事件でも、Gセンサーが反応せずデータが上書きされてしまい、相手方から「自分に不利なものが映っていたから消したのでは?」と主張され、過失立証に難渋した経験があります

オプション機能

GPS機能

ドラレコ自体にGPS信号受信機が内蔵されており、車両の位置情報を録画データに記録します。

PC等で見ると、走行位置や走行速度が確認できるようになっています。

時刻情報もGPSから受信できるため、電波時計レベルの正確な時刻記録が可能です。

もっとも、自動車での移動データ(動画・場所・日時)が全て克明に記録されることになりますので、SDカードを他者に確認されるとプライバシーが丸裸になるリスクがあります。

高級機種にはこれを防ぐパスワード機能が付いているものもあるようです。

WDR/HDR機能

(1)コントラスト比の問題

明るい部分と暗い部分の光の量の差をコントラスト比といいます。

カメラは人間の目(+脳の補正)よりもコントラスト比の表現能力が劣り、明るい場所では暗い部分が真っ黒に映ったり(黒つぶれ)、逆に明るい部分が真っ白に映ったりします(白つぶれ)。

ドラレコにおいては、太陽が映ると他の部分が黒つぶれしてしまい、太陽以外がまともに見えなくなることや、トンネル出口より先が真っ白に映ってしまうことがあります。

(2)補正機能

この白つぶれや黒つぶれを補正し、明るい部分から暗い部分まで綺麗に映す機能がWDR(Wide Dynamic Range)やHDR(High Dynamic Range)です。

せっかくドラレコを付けていたのに、白つぶれや黒つぶれで証拠価値がなくなってしまうのは余りにもったいないので、この機能はあったほうがいいでしょう。

白つぶれ等のときに事故が起きる確率は低いでしょうが、そういうときに限って不運にも事故が起きてしまうのが怖いところです。

注意点

画質(解像度)

撮影画像の解像度は以下のように縦✕横のドット数で表します。

  • VGA:640✕480
  • ハイビジョン:1280✕720
  • フルハイビジョン:1920✕1080

解像度比較

これらの数値が大きいほど細かい部分まで撮影可能です。

VGA画質では前方車両のナンバーすら判読困難となるため、最低でもハイビジョン画質は欲しいところです。

フレームレート(fps)

(1)定義

一秒間に何コマ撮影できるかという指標です。fps(frames per second)ともいいます。

30fpsは秒間30コマということになります。

LED信号

(2)LED信号機問題

近年増えてきたLED信号機は、超高速で点灯と消灯を繰り返しています。

西日本では電力が60Hzの周波数となっており、LED信号機が1秒間で120回点灯消灯を繰り返していることになります(東日本は50Hzで100回)。

ここで問題となるのが、フレームレートが30fpsの場合です。

秒間30コマの撮影となるので、LED信号機の秒間120回の消灯タイミングにシンクロしやすいのです。

このため、若干シンクロすると信号機が点滅しているように映り、完全にシンクロすると信号機が点灯していないように映ります

これに対応するため、フレームレートをあえて27.5fpsにしてタイミングをずらすモデルが増えています。

記録媒体容量

SDカード

高画質の場合、録画データの容量が大きくなるため、その分、記録媒体に保存できる時間は短くなります。

フルハイビジョン録画の場合は以下の時間録画できます。(※参考までに、SDカードの価格帯も付記しました。)

  • 32ギガバイト:3~4時間・2000円前後
  • 64ギガバイト:7~8時間・4000円前後
  • 128ギガバイト:18時間・7000円前後

概ね、64ギガバイトあればロングドライブでも対応は可能と考えられます。

但し、32ギガバイトまでしか対応していない機種も多いので、確認が必要です。

なお、ドラレコは絶えず書き込み/消去を繰り返し、かつ高温/低温下で稼働するため、廉価なSDカードではすぐ破損する傾向にあり、高耐久のドラレコ向けSDカード(但し高価)を選ぶべきです。

ちなみに、私のドラレコで使っていた初代SDカード(廉価)は半年弱で壊れました。

おわりに

ドラレコを付けることが、後に自分の身を守ることになります。

繰り返しになってしまうかもしれませんが、交通事故を多く扱う弁護士として、皆様に一刻も早くドラレコを付けていただければと思っています。

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