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弁護士法人 たくみ法律事務所

自動車保険の任意保険料が値上げの流れになっています


はじめに

自動車

先日、自動車保険の更新があったので、更新手続きを行いました。

幸い、無事故で1年間過ごせましたので、等級も上がり、保険料が安くなるかなと思っていましたら、等級は1つ上がったものの、保険料自体は去年よりも高くなってしまいました(保険内容は全く同じです)。

ここ数年、保険料の値上げが続いています。

皆様の中にも私と同じように等級は上がったのに保険料が高くなったという方がおられることと思います。

近年、自動車保険の損害率(保険料収入に占める支払保険金等の割合)が悪化しています。

つまり、保険会社にとって、自動車保険の収支バランスが悪化しており、保険料収入を上げるか、支払保険金等を下げるかする必要がありますが、支払保険金を下げるといっても簡単にできることではないため(支払保険金を下げれば、被害者が損失を被ることになります。)、保険料を値上げし、保険収入を増やして収支バランスを取ろうとしているのです。

損害率の悪化は、次のような要因があると言われています

若者の車離れ → 保険料収入の低下

総務省の「全国消費実態調査」によれば、30歳未満の自動車所有台数は年々減少しています。

自動車を所有する若者が減ることにより、当然、保険料収入も低下しますので、損害率の悪化につながります。

②高齢ドライバーの事故件数の増加

自動車の安全装置技術や運転者の運転意識の向上などにより、60歳未満のドライバーの交通事故件数は年々減少傾向にあります。

ところが、(保険料が相対的に安い)60歳以上のドライバーの交通事故件数は、横ばいあるいは増加傾向にあります。

高齢ドライバーの事故は、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどにより、重大な事故につながるケースが多いです。

そのため、支払保険金額の増加の要因となっており、損害率の悪化につながっています。

③物損事故における部品代・修理費等の上昇傾向

消費税の値上げや自動車部品の高度化に伴い、物損事故における部品代や修理費の保険金支払額が上昇傾向にあり、損害率の悪化につながっています。

もっとも、先日、損害保険料率算出機構は、各保険会社の収支が改善していることを踏まえ、任意保険の保険料を決める目安となる参考純率を平均8%引き下げる見通しと公表しました。

参考純率の引き下げは14年ぶりであり、この参考純率引き下げを受けて、2018年度には、保険料の値下げがなされるかと思われます。

今後も値下げが続くかは不透明ですが、一旦は保険料の値上げが落ち着きそうです。

おわりに

対人賠償保険・対物賠償保険の加入率は、自動車共済も含めると、約85%程度と言われています。

幸いにも、保険料の値上げ傾向にもかかわらず、任意保険の加入率は徐々に上昇傾向にあり、悲惨な状況に追い込まれる被害者、加害者は少なくなってきていると思われます。

それでも約15%が任意保険未加入とは驚きます。

悲惨な状況に追い込まれる被害者、加害者をなくすためにも、保険料の値上がり等による負担は、運転者皆さんで共有していかなければならないものだと思われます。

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弁護士桑原

執筆弁護士 桑原淳

福岡県古賀市出身。

個々の被害者が受けた被害をきちんと受け止め、被害者それぞれに最適な解決方法を見つけていくことを大切にしています。

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