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修理代が安いときは要注意!保険会社が「受傷否認」を主張してくる場合とは?
受傷否認とは?
交通事故の被害にあい怪我を負ったとき、ほとんどのケースでは、当事務所の弁護士にご依頼いただくことで相手方の保険会社との交渉を代理で行うことによって示談金を増額することができます。
しかし、保険会社が交通事故による受傷を否認する「受傷否認」のケースでは、早期に解決することを選択した方がよい場合があります。
保険会社が受傷否認を主張してくる可能性が高いのは、以下のような状況の事故のときです。
- 事故による車の修理代が10万円以下の場合(レンタカー代を除く)
- ミラー同士の接触事故の場合
- 自転車やバイクの事故で、事故時に転倒していない場合
このページでは、「受傷否認」について事例を元に詳しく解説し、保険会社から受傷否認を主張されたときはどうするべきなのか説明します。
追突事故にあったAさんの事例
交通事故発生から治療打切まで
Aさんは、福岡市内の交差点で信号待ちをしていたところ、クリープ現象により前進してきた後続車に追突されました。
Aさんは事故によって凹んだリアバンパーの修理を修理工場に依頼し、修理代の8万円は保険会社(対人社)に請求しました。
事故の後、Aさんは首に痺れを感じるようになったため、事故後2か月間、整形外科に通院してむち打ちの治療を受けました。
その間にかかった治療費30万円は対人社から「任意一括対応」で立替払いを受けたため、Aさんの自己負担は一切ありませんでした。
事故から2か月後、Aさんは対人社から治療の打ち切りを通告されました。
治療費の支払い打切後
しかし、Aさんはまだ首に痺れが残っているため、治療の継続を希望しています。
対人社から治療の打ち切りを通告されたAさんは、やむを得ず健康保険を利用して事故後6か月まで治療を続け、支払った治療費を自賠責保険に請求しました。
ところが、自賠責保険は「事故は軽微で被害者が治療を要するような負傷をしたとはいえない(事故と怪我との間に因果関係がない)」と判断し、Aさんへの支払いを拒否しました。
自賠責保険が受傷否認をしたことにより、2か月目までAさんの治療費30万円を支払っていた対人社も、自賠責保険から立替分の回収をすることができなくなります。
そこで、対人社は「怪我をしていないのであれば、Aさんのために立て替えた30万円はAさんが不当に得た利益に当たる」として、Aさんに30万円の返還を請求しました。
受傷を否認されると治療費の返還を求められる
Aさんは3か月目以降に自ら立て替えた分の治療費を自賠責保険に請求しました(このように、被害者が自ら自賠責保険に立て替え分の治療費を請求することを「被害者請求」といいます。)
ところが、Aさんは、自賠責保険に支払いを拒絶されたばかりか、対人社から2か月目までの治療費30万円を返還するよう要求されてしまったのです。
なぜこのようなことが起きたのでしょうか。
自賠責保険は、「事故は軽微で被害者が治療を要するような負傷をしたとはいえない」として受傷を否認し、被害者請求に応じませんでした。
この事案で、Aさんが自賠責保険から受傷を否認されたポイントは2つあります。
- Aさんの車の修理代が8万円しかかかっていないことから、事故が軽微なものだったと推測されること
- Aさんの症状が首の捻挫(むち打ち)であることから、レントゲンなどによる客観的な証拠(他覚的所見)がなく、Aさんの主観による訴え(自覚的所見)でしか怪我の有無を判別できないこと
このような場合には、自賠責保険は事故による怪我はないと判断し、被害者請求に応じないことが多いのです。
すると、被害者は対人社に慰謝料や治療費の請求ができないばかりか、逆に立替分の治療費を返還するよう求められてしまうことになります。
受傷否認をされたら
保険会社から受傷を否認されたAさんは、「事故の直後から首が痺れるようになったのだから、事故で怪我をしたに決まっているのに」と、納得がいかない気持ちになるでしょう。
では、対人社から受傷否認をされたらどのように対応すればよいのでしょうか。
もちろん、弁護士にご依頼いただき、賠償金を獲得するために交渉や裁判を行って事故と怪我の因果関係を争うことは可能です。
しかし、受傷否認を争うためには時間と手間が非常にかかるため、弁護士にご依頼をいただいても費用倒れになってしまうこともあります。
また、事故が軽微な場合にはもともと治療費の打ち切りのリスクが高く、治療段階から弁護士が介入することで対人社が警戒して早期に打ち切りをされてしまうおそれがあります。
そこで、弁護士が介入せずに治療費の支払いは受けておいて被害者請求は行わず、早期の解決を選択した方が、結果的には被害者の利益になることがあります。
さいごに
繰り返しになりますが、以下のようなときには受傷否認の可能性にご注意ください。
- 事故による車の修理代が10万円以下の場合(レンタカー代を除く)
- ミラー同士の接触事故の場合
- 自転車やバイクの事故で、事故時に転倒していない場合