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シートベルト未装着の場合、過失割合はどうなりますか?
Q.シートベルト未装着の場合、過失割合はどうなりますか?
交通事故を起こした際に、被害者がシートベルトを装着していないことをもって相手方保険会社から過失割合を主張されてしまうことがあります。
自動車の運転者は、全座席についてシートベルトを装着させる義務があります。
平成20年6月から道交法改正により、助手席の装着義務だけではなく後部座席についても、運転者にはシートベルトを装着させる義務があることになりました(道交法71条の3第2項)。
しかし、通常はシートベルトを装着していないことが直接の交通事故の理由となるわけではなく、シートベルトを装着していないことから直ちに過失が認められるわけではありません。
シートベルトを装着していないことにより損害を拡大させた場合に限って、シートベルト装着義務違反で過失割合として考慮されることになるのです。
過失の内容が、シートベルト装着しなかったことにより損害を拡大させたことですので、法令上の義務があるのは運転者のみですが、同乗者についても過失割合として考慮されることは同じです。
どの程度過失が認められる?
では、シートベルト装着しなかったことにより過失が認められるとしてもどの程度認められるのでしょう。
裁判例では、シートベルトをしている者としていなかった者との傷害結果の差が大きいことから、損害の拡大の程度は大きいとして、シートベルト装着義務違反として20%の過失を認めたもの(神戸地裁尼崎支部平成23年5月13日判決)から、シートベルト不装着が損害拡大に全く影響しなかったものとはいえないとして、5%の過失を認めたもの(大阪地裁平成8年1月18日判決)まで、損害拡大の程度により、およそ5%から20%程度認められています。
これに対し、後部座席のシートベルト不装着の事案においては過失を認めらないものが多いです(岡山地裁平成17年11月4日判決、東京地裁平成15年5月8日判決等)。
これは、これらの交通事故当時、後部座席においてシートベルト装着義務は努力義務であり、後部座席でのシートベルト着用が一般的でなかったことを根拠としてあげています。
現在では、後部座席を含め前座席にシートベルト着用義務が設けられたことからすれば、後部座席のシートベルト着用義務が一般化し、助手席、運転席と同様の判断がなされる可能性が高いと思われます。
※後部座席シートベルトの装着の義務化に伴い、後部座席でもシートベルト未装着の場合に過失を認めた判決が出されました(名古屋地裁平成24年11月27日判決)
過失割合のためでもありますが、自身の身体をまもるために、シートベルトはしっかりと装着しましょう。
西日本新聞に掲載されました
2017年6月21日発行の西日本新聞に、当事務所の弁護士が執筆したコラムが掲載されました。
「タクシーの後部座席にシートベルトをせずに搭乗中に事故に遭い、怪我をした場合の過失はどうなるのか?」というテーマで、具体例を交えながら詳しく解説しております。
詳しくは、こちらをご覧ください。
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