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家族が病院にお見舞いに行く際の交通費は賠償されますか?
Q.家族の見舞いのため交通費は損害と認めてもらえますか?
A
見舞いは、被害者の安否や健康状態を心配して訪ねることであり、見舞いのための交通費が損害と認められるのは、家族の心情からお見舞いに行くのが相当である(合理的である、通常である)といえるか否かが判断基準となります。
見舞いのための交通費は認められないのが原則ですが、被害者が危篤状態であったり、意識障害であったりなど重症であるほど認められやすくなります。
一方、症状が回復するにつれ損害と認められにくくなることは、付添い看護のための交通費と同様です。交通費(の一部)が損害として認められたケースとして、次のようなものがあります。
東京地判平成8年3月13日
大学生の被害者が、交通事故により上下顎骨骨折、頸椎圧迫骨折、全身打撲の傷害を受け、東京の病院に60日入院する間、親族(両親、叔母、妹)が、20回見舞いのため大阪から上京した交通費について、8回分(約23万円)については相当性の範囲内であるとして損害と認めた
傷害内容 | 上下顎骨骨折・頸椎圧迫骨折・全身打撲 |
入院期間 | 60日間(H3.7.13~9.1・H4.2.25~3.4) |
通院期間 | H5.7.10まで(実通院12日) |
距離 | 大阪~東京間 |
認められた 損害 |
・両親が事故を知って駆け付けた際の高速道路料金及びガソリン代(約3万7,000円)を認めた ・両親、叔母、姪の20回の見舞いのうち8回分の交通費(約23万9,520円)を認めた |
東京地判平成10年1月30日
交通事故で頭蓋底骨折、脳挫傷等の傷害を負い、原告(被害者)が787日間入院している間、「原告の両親は高速道路を利用して自動車で、少なくとも120回は原告のお見舞いに訪れている…(中略)…傷害内容によると、原告の両親が見舞いのため右病院を訪れることは、その心情として理解でき、そのうち40日間を本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である」とした
傷害内容 | 頭部外傷、頭蓋底骨折、脳挫傷、上下顎骨骨折、右側頬骨骨折、右第五中手指骨骨折、右腕神経損傷、右大腿骨骨折、右大腿骨骨髄炎、右鎖骨骨折 |
入院期間 | 787日間(H1.10.7~H5.7.8) |
通院期間 | 退院後647日間(実通院26日) |
距離 | 東京~群馬間 |
認められた 損害 |
120回の見舞いのための高速道路料金のうち、40回分の約24万余円を認めた |
札幌地判平成13年12月5日
交通事故脳挫傷、くも膜下出血等で266日間入院した1級3号の被害者(66歳)について、子が見舞いのため単身赴任先から帰宅した際の電車及びバスの利用料金分(7,800円)を、約1年間で78回の見舞い全てについて損害と認め(合計約60万円)、被害者の症状(意識不明の状態から回復後、痴呆、失禁等)を考慮すると、この程度の回数の見舞いをすることは親を思う心情から当然であると判示した
※ただし、実際は78回のうち52回は約3時間かけて車で見舞いに行ったものであり、その都度ガソリンや高速道路代約1万2,000円の支出があったのですが、時間や距離を考慮すると電車等の利用が合理的であったとして、電車等利用料金7,800円の限度でしか認められていないということに注意する必要があります。
傷害内容 | 脳挫傷・くも膜下出血・硬膜外血腫・頭蓋底骨折等 |
入院期間 | 266日間(H6.9.28~H7.6.24 ) |
通院期間 | H8.1.12まで(実通院12日) |
距離 | 北海道旭川市~北海道石狩市間 |
認められた 損害 |
子が見舞いのため単身赴任先から帰宅した際の電車及びバスの利用料金分(7,800円)について、約1年間78回の見舞い全て(合計約60万円)を認めた |
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