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偽関節と後遺障害

Q.偽関節と後遺障害とは

A

1.偽関節とは

 偽関節とは、その名のとおり、関節がない部分に偽の関節ができてしまう症状をいいます。原因としては、腕や、足の骨の骨幹部(関節と関節の中間)骨折が挙げられます。

 骨は折れた後、修復(治療機転)していきますが、医学的には、年齢、骨折自体の状態や、全身状態など様々な事情から、その治療機転が停止した状態を偽関節と言います。

2.後遺障害における偽関節

 後遺障害における偽関節は、上肢又は下肢に、骨幹部等に癒合不全を残すものである場合に認定され、その箇所、硬性補装具を必要とするか否かにより、後遺障害等級の8級もしくは、7級が認定されます。

3.偽関節の手術

 偽関節の治療については、昔はギブスなどでずれた骨を元の位置に戻したうえで固定し、骨が自然にくっつくのを待つものや、金属プレートなどを入れる手法などでした。

 しかし現在では、患者自身の腰の骨などを一部取り出して、幹部の隙間に入れることにより偽関節を生じないようにさせる自家骨移植という方法や、偽関節となった幹部の壊死した骨を取り除いたうえで、鋼線を通し固定するイリザロフ法など、偽関節についての手術の技術が発達しており、現在では、偽関節を残すことは少なくなってきています。

 もっとも、大腿骨骨折の場合で偽関節手術を受けなかった事案でも、偽関節手術がその治療法として絶対的なものとはいえないとして、後遺障害認定が認められる可能性はあります(東京地裁平成24年7月17日)。詳しくは、手術と後遺障害認定について教えて下さいをご覧ください。)

4.プレート、髄内釘残置の場合の後遺障害

 ちなみに、骨幹部骨折の治療で、髄内釘固定やプレート固定などがよく行われますが、年齢の問題などから、取り除かず、髄内釘・プレートを残したままにしておく場合もあります。

 将来プレートを抜釘する場合には、取り除いた後でなければ症状が固定したとは言えず、後遺障害申請はできませんが、残置しておくという判断がされた場合には、その状態で症状固定として後遺障害申請がされます。

 そして、抜釘しない状況においても、骨片間の癒合機転が止まっている場合で異常可動を示す状態であれば、偽関節として後遺傷害が認定されます。

 そもそも髄内釘やプレートは異物であり、これをもって骨がつながったとみることはできず、髄内釘・プレートが入っていたとしても、異常可動を示す場合もあるためです。

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