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高齢者の事故本当に増えている??-警察庁統計資料から見る事実-
はじめに
警察庁交通局が2月15日に平成29年中の交通事故の発生状況について公表しました。
平成29年の交通事故発生件数は47万2,165件と前年比で-5.4%減となっており、死傷者数も含め減少傾向にあるのはご存知のとおりかと思われます。
最近は、高齢者の事故がニュースで大きく取り上げられる機会も増えてきたように感じます。
高齢者による事故が増えているのか、データから少し見てみたいと思います。
原付以上運転者の年齢層別免許保有者10万人あたり交通事故件数
まず、原付以上運転者の年齢層別交通事故件数を見ると、高齢者(65歳以上)が起こした(事故当事者のうち最も過失が重い)事故件数が9万5,114件、若者(16~24歳)が起こした事故件数が6万1,711人となっており、高齢者による事故件数が若者による事故件数より1.5倍近く多いことがわかります。
しかし、原付以上運転者の年齢層別免許保有者10万人あたり交通事故件数という統計を見てみましょう。
これは10万人あたり何人が事故を起こしているかという数値です。
高齢者(65歳以上)の10万人あたりの事故件数は、523.1人です。
それに比べて若者(16~24歳)の10万人あたりの事故件数は、1089.2人となっております。
このことからすれば、10万人あたりの事故件数で比較した場合、高齢者より若者の方が事故件数は圧倒的に多いことがわかります。
10年前との比較
また、10年前の平成19年を100%とした場合でみると、平成29年の若者は58%、高者は56%となっております。
10年前と比べて、10万人あたりの高齢者の事故件数は若者より下がっていることがわかります。
確かに、上記のデータからも高齢者の事故の数自体は、10年前と比べて92%とあまり減っていないことがわかりますが(若者は10年間で46%にまで減少しています。)、それ以上に、高齢者数が増えていることがわかります。
ニュースだけで見ると、危険な運転をする高齢者が異常に多くなった印象を受けます。
たしかに、高齢者が運転する車が高速道路を走行したり、人混みに突っ込み死傷者が出るなどの凄惨な事故が発生しているのは事実です。
しかし、統計を見ると若干違った見方ができます。
2018.3.29掲載