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交通事故において担当医の意見を重視すべき理由
交通事故において担当医の意見を重視すべき理由
先日、民事手続協議会に行ってきました。
民事手続協議会とは、定期的に行なわれる裁判官と弁護士が特定の事項について意見交換などをする場です。
今回は、適性で効率的な審理運営の在り方についてのパネルデスカッションが行われました。
参加された弁護士は、交通事故における損害保険会社側の弁護士と被害者側の弁護士で、加害者側(保険会社側)の顧問医による意見書などについてのディスカッションが行われました。
交通事故において、加害者側は、被害者の方の治療終了時期について、もっと早い時期に治療を終了しても良かったのではないかなどと争ってくることがあります。
このとき、加害者側の弁護士は、保険会社の顧問医に、治療終了時期についての意見書を書かせて、それを証拠として提出してきます。
被害者側の弁護士からはこの点について、保険会社の顧問医の意見書を重視するのはおかしいのではないかという話が出ました。
確かに、私も、保険会社の顧問医の意見書を重視するのはおかしいと考えています。
保険会社の顧問医は、被害者の方の診察をすることは1回もなく、会ったことすらない被害者の方の治療の終了時期の妥当性などについて、担当医記載のカルテなどを元に意見書を書くというのは、おかしな話です。
一方で、怪我を負われた被害者の方は、病院に通い、その病院の担当医から治療を受けることになります。
担当医は、被害者の方の診察・治療を何回も行い、カルテ等にその症状や治療内容を記載します。
そして、担当医が治療の終了時期などについて判断を行います。
このような実態を考えると、被害者の方の治療終了時期の判断について適切に判断をする際に、最も適切な意見を述べることができるのは担当医であると考えます。
担当医は、被害者の方の症状について定期的に話を聞き、その症状などについて一番よく理解しているからです。
裁判では、被害者の方の治療期間などについて、専門委員の鑑定といって、中立的な専門家に入ってもらって、専門的な判断についての意見を聞く制度があります。
担当医の意見の正当性を担保する必要があるのであれば、保険会社の顧問医ではなく専門委員の鑑定を利用して、中立的な医者に意見を出してもらうべきなのです。
しかし、この制度が実際にはほとんど利用されていません。
被害者の方の治療期間などに関する適切な判断を受けるためにも、顧問医ではなく、担当医の意見書を重視すべきであること、必要性があるのであれば専門委員による鑑定を行うべきであるということを再認識しました。