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交通事故の仮払い仮処分制度について
交通事故では、治療~症状固定(又は完治)~後遺障害の認定~示談という流れをたどります。
そして、本来的には、加害者(任意保険会社)は、最終の示談段階で賠償金を支払うことになるのですが、被害者が治療費を立て替えたり、怪我のために収入が途絶えると、途端に被害者の生活が成り立たなくなります。
そこで、実務では、加害者(任意保険会社)が示談の前に、治療費を支払ったり、休業補償を内払いすることが通常です。
しかし、これはあくまでも、任意保険会社のサービスの一環として行われていることから、任意保険会社の意向次第で、治療費や休業補償を打ち切るということがままあります。
被害者としては、「まだまだ治療を受けたいのに・・」「まだ働ける状態じゃないのに・・」という状況でも一方的な打切りにあうことが少なくありません。
この場合、被害者は、示談するまで自費での治療を余儀なくされることになりますが、これを回避するために被害者が取り得る一つの手段として、裁判所への【仮払い仮処分の申立て】というものがあります。
仮払仮処分の申立てとは
仮払い仮処分の申立てとは、簡単に言えば、裁判所の力を借りて、示談金の前払いを認めてもらうというものです。
通常、示談に納得できずに裁判ということになれば、解決までに早くても半年以上かかりますが、この仮払い仮処分については、申立後1~2か月で解決する例が多いです。
実際に、私が最近行った事例では、休業補償相当額の仮払いを求めて、申立てから解決まで3週間という短期間で無事に補償を受け取ることができました。
申立てまでの資料を揃えるのに一苦労しますが、被害者の取り得る数少ない武器の一つだと思います。
仮払仮処分制度を利用した事例
- 裁判により保険会社の主張を退け、請求額の大部分が認められ約2139万円が補償された事例
- 後遺障害併合6級が認定され、自宅リフォーム費用を含む3828万円が補償された事例
- 左母指の機能障害等により併合9級となり3100万円の補償を受けた事案
執筆弁護士 桑原淳
福岡県古賀市出身。
個々の被害者が受けた被害をきちんと受け止め、被害者それぞれに最適な解決方法を見つけていくことを大切にしています。