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【事務所コラム】福岡の法曹の交通事故についての協議
福岡の弁護士と裁判官の交通事故事案についての協議
今回は、先日、福岡地裁で開催された「民事手続協議会」についてお話しします。
今回のテーマ
「民事手続協議会」は、福岡の弁護士と裁判官による、民事裁判にまつわる問題点や課題について意見を交換し合う集まりです。
今回は、「物損交通事故と弁護士費用特約、LACについて」と題しまして、以下のような事項が報告されました。(※LACとは、弁護士費用保険のために設置された日弁連の組織のことです。)
- 最近の物損事故訴訟の増加と取り組み、平均的な解決期間の現状などの報告
- 訴訟の原告代理人の活動の概要
- 弁護士特約についての日弁連の調査(海外調査含む)の状況
今回はメインテーマである①について、以下で紹介させて頂きます。
最近の交通事故訴訟の実情
物損事故の訴訟の増加
裁判官の報告によりますと、最近では、比較的少額な物損事故の損害賠償請求訴訟が増加しているとのことです。
これは、弁護士費用特約の普及により、原告の訴訟に対する費用負担が減少したところが大きいと思われます。
弁護士費用特約の情報が定着し、交通事故被害者の権利意識が高まっているという傾向があらわれているでしょう。
物損事故の増加に伴う課題
裁判所では事件数が増加したため、個々の事件の迅速化が課題となっているようです。
とりわけ物損事故では、「事故状況に関する証拠が少ないことが多い」という特徴があります。
通常、事故状況については、警察の作成する「実況見分調書」(警察官が事故後に、事故の状況を記録した現場の見取り図等)が有力な証拠です。
しかし、被害が物損にとどまる場合は、この実況見分調書が作成されないことが多いのです。そのため、事故状況がはっきりしないために、訴訟当事者で深い対立をとなることもあります。(ちなみに、このような証拠の少ない物損事故に備える意味では、ドライブレコーダーの設置は有効な手段です。)
福岡の最新の裁判状況では、比較的少額な交通事故訴訟の平均的な解決期間としては、訴訟提起から6ヵ月から8ヵ月、3回から5回の裁判期日を要するということです。
ただし、どの裁判官も判決より和解によって解決するものが多いと感じているようで、控訴されることは稀なようです。
福岡での取り組み
福岡では、裁判所の独自の定型書式を作成し、当事者に対して存在する証拠、提出予定の証拠、裁判以前の交渉経過を、訴訟提起時点で明らかにするように求めることで、裁判の迅速化に努めています。
しかし、6ヵ月から8ヵ月という平均解決期間は、交通事故被害者にとっては大変長いものです。
人身事故なら、さらに期間がかかります。
迅速な解決を旨とする当事務所としては、訴訟に至らない満額解決、訴訟に至ったとしても早期審理に向けた裁判所との連携を、改めて意識しました。