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実通院日数の3倍を基準として慰謝料算定することの妥当性

実通院日数の3倍を基準として慰謝料算定することの妥当性

傷害慰謝料とは?

交通事故によって怪我を負った場合、被害者は加害者に対し、慰謝料を請求することができます。

この慰謝料のことを、後遺障害が残存した場合や死亡した場合に発生する慰謝料と区別して、「傷害慰謝料」といいます。

傷害慰謝料の金額はどのようにして決まるのか?

慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛を慰謝するために支払われる金員です。

被害者が受ける精神的苦痛は、個々の被害者によって実際は異なるものと思われます。

しかし、その違いを具体的な金額の違いとして反映させることは困難であり、また、被害者間での公平の問題も生じます。

そのため、実務上は、傷害の程度及び入通院期間に応じて、一定の基準が設けられています

たとえば、骨折で180日間の通院を要した場合は116万円、捻挫や打撲で90日間の通院を要した場合は53万円が、一つの基準となります。

実通院日数の3倍が基準とされる!?

しかし、被害者が、傷害の程度及び入通院期間を基準として慰謝料を請求すると、相手方保険会社から、実通院日数の3倍を基準とした反論がなされることがあります。

たとえば、捻挫や打撲で、通院期間90日間のうち10日実際に通院したというような場合、通院期間を基準とすると、上記のとおり53万円となります。

しかし、実通院日数の3倍を基準とした場合、30日間(10日×3)が基準となり、その場合19万円となってしまいます。

基準別の金額

このような反論がなされる原因は、実務で参照されている本(通称:赤い本)に、「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある」、との記載が存在するためです。

原則は通院期間が基準である!

弁護士岩間

しかし、実通院日数の3倍が基準とされるのは、そもそも「通院が長期にわたる場合」に限られます

また、通院が長期にわたる場合であっても、ただちに実通院日数の3倍が基準とされるわけではなく、症状、治療内容、通院頻度等をふまえた上で、3倍が基準になることもあるに過ぎません

そのため、我々は、相手方保険会社より、通院期間に比して通院頻度が少ないことのみを捉えて、実通院日数の3倍を基準とした慰謝料提示がなされた場合には、原則の通院期間に基づき慰謝料算定をするよう粘り強く交渉しているところです。

交渉によっても相手方保険会社が見解を改めない場合には、裁判を提起することもあります。

おわりに

通院期間を基準にするか、実通院日数の3倍を基準にするかで、慰謝料の金額は大きく異なりなります

上記の捻挫・打撲の例の場合、53万円と19万円で、3倍弱の金額の差となります。

慰謝料の金額に疑問があったり納得がいかなかったりされた場合には、その金額が適切かどうか確認させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。

弁護士岩間

執筆者弁護士 岩間龍之介

福岡県久留米市出身。

交通事故被害者からの相談に真剣に向き合い、加害者側との間に入ることで精神面でも支えとなれるよう最大限の努力をいたします。

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