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弁護士法人 たくみ法律事務所

タイヤの摩耗が過失であるとの保険会社主張を退け、有利な条件で和解した事案

【相談者】男性(40代) / 福岡市在住 / 職業:自営

【傷病名】頚部挫傷、胸部打撲傷、右母指捻挫

【後遺障害等級】14級9号

【活動のポイント】タイヤの摩耗に関する論文等の調査、証拠提出

【サポート結果】タイヤの摩耗が過失に影響しないと判断した和解案で解決

主な損害項目 金額
休業損害 約6万円
傷害慰謝料 約130万円
逸失利益 約140万円
後遺障害慰謝料 110万円
過失 25%
合計額 285万円

相談・依頼のきっかけ

 40代の福岡市在住の男性が一時停止規制のある交差点でのバイクと自動車(一時停止規制道路)の事故で、自動車が交差点に侵入したことにより、バイクが避けることができず、スリップの上衝突し、バイクの運転手が怪我をしてしまった事例です。

 バイクの運転手は、頚部挫傷や胸部打撲傷、右母指捻挫等の怪我を負われました。

 相談時はまだ治療中の段階でしたが、相手方保険会社から伝えられていた事故の過失割合、物損の賠償額に納得がいかないということで、今後の治療の進め方も含めてご相談したいとのことでした。

当事務所の活動

 当事務所としては、治療終了後も、被害者に右母指捻挫の神経症状が残存していたため、後遺障害の申請をしたところ、14級9号の認定を得ることが出来ました。

 その後、相手方と交渉を開始したところ、過失割合については、自動車は一時停止をしたことから、基本過失割合は35(バイク)対65(自動車)となり、それに加え、今回の事故は、バイクのタイヤの摩耗が大きく影響しており、過失割合に影響する、基本過失割合から10%を上乗せするとして、過失割合は、45(バイク)対55(自動車)であると主張してきました

 確かに、被害者のバイクのタイヤの溝はほとんど摩耗しており、完全にタイヤの「山」はない状態であり、タイヤが摩耗していればグリップ力が弱まりスリップしやすく急停止が困難となることは常識であるといえます。

 しかし、こちらとしては本件事故時に路面は乾燥しており、タイヤの摩耗は本件事故における制動距離には影響を与えない旨主張しました。

当事務所が関与した結果

 結局示談交渉では折り合いがつかず、裁判になりましたが、調査会社を通じて取得した路面状況時におけるタイヤ摩耗の影響についての論文なども証拠提出した上で、争ったところ、最終的に、裁判所からタイヤの摩耗については過失割合に影響しないとして、その前提での和解案が提示され、和解で解決することになりました。

 なお、本件では最終的に過失割合は、25(バイク)対75(自動車)として、自動車一時停止の基本過失割合よりこちらに有利な数字で和解しました。

 これについては、本件事故現場の交差点が一時停止規制側からの見通しが非常に悪く、停止線手前で止まっていても、優先道路走行車両が目視できないことから、本件では停止線手前で停まってはいたが、一時停止をしたと同程度の注意をしたとは判断できないとされたためです。

弁護士の所感(解決のポイント)

 タイヤの摩耗は整備不良であることは間違いがなく、本件事案を持って、路面乾燥時であれば常にタイヤの摩耗が過失割合に影響しないとか、雨天時のような路面湿潤時には、タイヤの摩耗が過失割合に必ず影響するというわけではありません。

 しかし、安易に、保険会社の主張を鵜呑みにすることなく、具体的事例に応じて、適切な主張をしていくことが重要です。

 また、私自身タイヤの摩耗を中心の争点とされたについてはこれまで経験したことがありませんでしたが、そのような場合にも不自然だと感じた部分について、調査を重ねて良い結果を得ることが出来た点が良かったと思います。

 この事件に関しまして、【たくみのこだわり】タイヤの摩耗は過失割合にどう影響するのかにて詳しくご紹介しておりますので、併せてご覧ください。

2016.04.13掲載

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