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弁護士法人 たくみ法律事務所

死亡事故の裁判において内縁関係の家族に対する慰謝料の支払いが認められた事例

相談者 70代男性 / 福岡市在住 / 無職
40代女性 / 福岡市在住 / 主婦
被害者 60代女性 / 福岡市在住 / 主婦(事故当時)
傷病名 死亡
活動のポイント 保険会社との示談交渉・裁判
サポート結果 慰謝料獲得

主な項目 金額
内縁の夫としての慰謝料 640万円
内縁の娘としての慰謝料 80万円

お客様の声

お客様アンケート

相談・依頼のきっかけ

弁護士桑原

福岡市在住の60代の女性が、道路を横断していたところ、道路を直進してきた車にはねられ、救急搬送先の病院で死亡が確認されるという事故がありました。

被害者の女性と内縁関係にあったご主人と内縁の娘様より、加害者に弁護士がついたものの何を話せばよいのかわからず、また、ご主人も娘様も内縁関係であるため法定相続人がおらず、賠償についての話ができないと言われており、どうすればよいか分からないということでご相談をいただきました。

1度目の相談時はまだ事故から日がたっておらず、警察による捜査の途中の段階だったためすぐにご依頼いただくことはしませんでした。

警察による捜査やご葬儀が終わり、落ち着いた頃に再度ご相談いただき、お受けすることになりました。

当事務所の活動

まずは被害者の女性の相続人の有無を調べるために、住民票や戸籍等の調査を開始しました。

しかし、該当する住民票等は見当たらず、警察や検察による捜査でも被害者女性の身元を判明させることはできませんでした

内縁のご主人や娘様がこれまでずっと家族として被害者の女性と過ごしてきた事実は確かにあるため、こういった事情を相手方弁護士へ説明し、法定相続人ではないが、内縁のご主人や娘様に損害賠償をしていただくよう交渉を行いました。

相手方弁護士は示談交渉の段階では、内縁関係があるとはいえ戸籍上の関係がわからない方々へ賠償金の支払いはできないと主張したため、裁判を提起することになりました。

裁判を行うにあたって、長年家族として暮らしてきたことを証明するため、ご主人さまと娘様に、奥様・お母様といつから一緒にいるのか、どのような日々を過ごしてきたのか、今回の事故を受けてどのようなお気持ちでいるのかということをお手紙にまとめていただき、また、これまでの思い出の写真も集めていただきました。

ご作成いただいたお手紙や集めていただいた資料をもとに裁判所へ提出する書類を作成し、訴訟を提起しました。

当事務所が関与した結果

裁判において争点となったのは、

  1. 相手方に、被害者女性の内縁の夫と娘に対する慰謝料の支払いを行う義務があるかどうか、義務があるとしたら慰謝料の金額はいくらになるのか
  2. 被害者の女性の過失割合について

の2点でした。

被害者の女性の身元が不明であるとはいえ、女性の親族だと名乗る人が事故後から現在までの長期間現れていないことから、今後も戸籍上の相続人となりうる人物が出てくる可能性は極めて低いことを繰り返し主張しました。

また、過失割合についても事故当時の状況からして被害者の過失は少ないことを、制動距離を具体的に計算する等して主張しました。

その結果、訴訟を提起してから1年以上の期間がかかりましたが、無事、内縁のご主人に640万円、内縁の娘様に80万円の慰謝料の支払いを行うという内容で判決が出され、無事解決に至ることができました。

弁護士の所感(解決のポイント)

交通事故の賠償において、特に保険会社は、賠償の内容や賠償すべき相手がいわゆる通常の場合と異なると、支払いを渋ったり、拒否したりすることがあります

本件でも、法的な親族関係が被害者女性と依頼者の方との間になかったため、相手方は示談交渉においては依頼者の方への賠償を認めませんでした。

裁判においては、依頼者と被害者女性とは、何十年も家族として連れ添い、法的な親族関係がある家族と何ら変わりない生活をしてきたという実態を重視すべきと強く主張し、裁判所にも相応の慰謝料額を認めてもらうことができました。

多様性が認められつつある現代ですが、制度上の枠内にいない方の法的な保護というのは、まだまだ不十分な場合があります

事故に遭われた被害者の方の苦しみは、みなさんおありで、身分などによって区別されるべきではありません

被害者の方の損害に見合った賠償を求めるべく、今後も精進してまいりたいと思います。

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