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高次脳機能障害で健保利用分込の介護費を含め約1億3,000万円が認められた事例
【相談者】男性(50代) / 福岡市在住 / 職業:会社員
【傷病名】多発脳挫傷、外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折、顔面骨多発骨折、左脛骨遠位端骨折
【活動のポイント】総合的対応
【サポート結果】過失20%
主な損害項目 | サポート前 | サポート後 |
---|---|---|
休業損害 | 1,393万円 | 1,100万円 |
傷害慰謝料 | 420万円 | 545万円 |
逸失利益 | 5,640万円 | 5,650万円 |
後遺障害慰謝料 | 2,300万円 | 3,700万円 |
将来介護費 | 2,800万円 | 7,255万円 |
過失割合 | 35% | 20% |
弁護士費用・遅延損害金 | 0万円 | 約1,300万円 |
最終支払額 | 6,093万円 | 1億2,810万円 |
相談・依頼のきっかけ
50代の福岡市在住の男性が徒歩にて片側2車線道路を横断しようとしたところ、直進してきた普通自動車に衝突される事故に遭い、急性硬膜下血腫及び外傷性くも膜下出血等の重傷を負われました。
ご相談は入院中の被害者の方に代わり、息子様からでした。
後遺障害は事前認定で、他者との意思疎通は困難であり、生活に必要な動作についてもほとんど介護が必要な状態であるとして、1級が既に認定されていました。
そして、後遺障害等級1級を前提に既に相手方から提示があり、それが妥当かのご相談を受けました。
しかし、保険会社からの提示額(特に将来介護費)があまりにも低いことを裁判例等をふまえて説明し、受任することとなりました。
当事務所の活動
受任後、過失を検討するための刑事記録を取り付け、将来の介護費用を検討するためのカルテの取り付け、ご家族への聞き取り、介護施設の調査等を中心に損害計算のための調査を行いました。
そのうえで、適正額について損害計算をした上で、相手方に金額の提示をしたところ、若干の増額はあったものの、訴訟提起時に認められる金額と比較しても満足の行くものではなかったため、訴訟提起をすることとなりました。
当事務所が関与した結果
訴訟提起後の一番の争点は将来介護費用、過失割合でした。
将来介護費については、その基礎となる介護費について健康保険利用時の3割部分を前提とするのではなく、保険利用部分も含めて全額を前提とするべきであることを主張して、その主張が認められました。
具体的には、将来介護費について年間200万円程度の提示でしたが、最終的な解決としては、年間500万円の将来介護費を認めてもらうなど、 大幅な増額が認められました。
また、相手方は過失割合については、事故現場が交差点ではない現場での事故であることから、被害者に40%の過失があるなどと主張してきましたが、交差点の定義から本件事故現場が「交差点の直近」であること、他の裁判例等から、被告の前方不注視が著しいことなどを主張し、裁判所からは、被害者の過失は20%である旨の提示を受けることができました。
さらに、後遺障害慰謝料についても、事前の提示は2,300万円でしたが、最終的に3,700万円と6割以上の増額となりました。
結果的には、総額として約6,700万円の増額で示談解決することができました。
弁護士の所感(解決のポイント)
本件は、訴訟になり相手方に代理人がつき、初めて既払い額の内訳が明確になったり、休業損害の算定日数の根拠日数が症状固定日までの期間ではなかったりなど保険会社からの事前提示が、後遺障害等級1級という極めて重篤な被害を負った交通事故被害者に対する提示としては杜撰なものでした。
等級が重くなればなるほど、また将来の介護費などという不確定要素が増えれば増えるほど、被害者にとって適正な損害額というものが判断しづらくなってきます。
何千万という金額が提示された場合、それで十分と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、将来の介護費などは、
- 平均余命がいつまでなのか
- 将来保険制度が改正されて負担部分が増額することはないか
- 加齢により出費が増えることはないか
- 介護をすることとなるご家族の負担の程度や将来も介護を続けることができる状態なのか
など、様々な要素を加味した上で、解決しなければならない問題です。
これらの点を考慮した上で、真の意味で適正といえる損害額での解決を求めていくことが重要になると再確認することとなった事件でした。
今回は、交通事故自体から解決まで5年、受任からは2年弱の時間を要しましたが、補償額の増額の程度からすれば、弁護士が関与してよい解決を導くことができた事件であったと思います。
2016.05.13掲載