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後遺障害12級13号の神経症状でも逸失利益は10年に限定されない?
はじめに
先日、膝の高原骨折後の神経症状で後遺障害等級12級13号の認定を受けた方の示談が終了しました。
通常の場合に比べて、逸失利益を算定するうえでの労働能力喪失率、労働能力喪失期間が比較的高く認められましたので、そのために私が取り組んだことについてご紹介させていただきます。
事例の概要
この方は、バイク走行中に四輪車と衝突されて膝を骨折した方でした。
事故後約1年間治療を続け、これから後遺障害申請をしようというところでご相談に来所され、当方関与のもとで後遺障害の申請をし、骨折後の神経症状について12級13号の後遺障害の認定を受けました。
後遺障害の認定と逸失利益
骨折した際に認定が考えられる後遺障害には主に、
- 可動域制限
- 神経症状(12級13号、14級9号)
があるのですが、①・②のいずれの認定であるかによって逸失利益の金額に相当の差が生じることになります。
可動域制限の場合
可動域制限の場合には年数がたっても可動域が回復することはないと考えられているために就労可能年数である67歳までが労働能力喪失期間と認定されます。
神経症状の場合
他方で、神経症状の場合には、年数がたてば徐々に痛みが軽減してくると考えられているために、12級13号であれば10年間、14級9号であれば5年間しか労働能力喪失期間が認められません。
もちろん、神経症状の場合であっても、裁判をすれば、職業や年齢や支障の内容・程度など被害者ごとの具体的な事情が考慮されてより長い期間が認定されることはありますが、示談交渉では、保険会社は形式的に、「10年14%」「5年5%」と判断し、これ以上認められることはあまりありません。
当事務所の活動
今回示談解決した方は、12級13号の認定だったのですが、事情をお伺いしていると就労や日常生活での支障が相当に大きいようでしたので、「労働能力喪失期間は10年、喪失率は14%」以上認められるべきと考えました。
また、裁判を希望していなかったので、示談で少しでも高く認められるように交渉を工夫する必要がありました。
そこで、この方と同様の怪我で12級13号の認定を受け「10年14%」以上の認定がされた裁判例をかき集め、裁判例とこれらを整理した検討書面、本人から聴取した具体的支障をまとめた書類を作成し、賠償金の請求と同時に相手方保険会社に送りました。
そうしたところ、相手方保険会社の初回での回答はやはり「10年14%」だったのですが、その後、既に郵送している書類を再度読んでもらうようにお願いしたところ、最終的に「最初の10年間を14%」「それに続く20年を5%」で認定してもらうことができました。
おわりに
裁判例は、保険会社に対し訴訟を提起されればより高い金額が認定される可能性があることを知らせる最も有効な資料です。
示談交渉段階でも、保険会社に裁判例とその検討結果を示せば、何もしない場合に比べてより高い金額で示談できる可能性が高まるのです。
裁判例の検討は相当の労力を要するものではありますが、裁判だけでなく示談交渉でも適切な賠償金を受け取ることができるように、取り組んでいきたいと思います。
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監修者弁護士法人たくみ法律事務所
福岡市と北九州市にオフィスがあります。
交通事故の被害者側専門の弁護士が、被害者の気持ちに寄り添い、将来への不安を少しでも解消できるよう尽力いたします。